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「75歳から高齢者・65歳は准高齢者」老年学会が提言。この機会にライフプランの見直しを

2017年01月31日

今年初めに、日本老年学会と日本老年医学会は、現在「65歳以上」とされる高齢者の定義を「75歳以上」
に引き上げるべきとの提言を国に対して行いました。

これまで日本では、WHO加盟の世界の先進国と同様、65歳以上を高齢者としていますが、様々なデータ
から高齢者の心身の健康が5〜10年前に比べて5〜10歳は若返っている、知的機能の面でも現在の70代が、
10年前の60代に相当するというものです。2016年日本人の平均寿命は83.7歳。WHO統計によると女性が
世界首位86.8歳・男性が6位80.5歳で、この20年間世界一の長寿国であること、又、いわゆる健康寿命が
平均寿命同様に伸びていることも背景にあるのでしょう。

提言にある通リ、誰しも心身が健康である限り、社会の支え手として社会貢献をして、いきがいのある
高齢期を過ごしたいと考えますが、一方で高齢者になり受給する社会保障給付への影響が出てこないかと
不安も感じます。

政府はこの提言に対し「提言は医学的な観点から出されたもので、社会保障における年齢の見直しは慎重
な議論が必要。」と発言していますが、労働人口の減少や世界のトップクラスと言える日本の高齢者への
社会保障費が増加し続けているという今後の日本が抱える問題が背景に見えています。

日本の社会保障費は、2013年度110兆6,566円と過去最高の水準となりました。高齢者の社会保障費で
ある年金保険給付・高齢者医療給付費・老人福祉サービス給付及び高年齢雇用給付費を合わせた額は75兆
6,422億円にも及び、全体の社会保障費の68.4%を占め、今後も増加傾向にあります。高齢者の定義を
75歳に引き上げることで、労働人口を増やし、消費経済を活性化させ、65歳から75歳は高齢者でないと
なれば、高齢者の範囲が縮小し、高齢者関係社会保障費も軽減され、国の財政を大きく好転する施策にな
るでしょう。

然しながら、年金受給年齢が引き上げられた高齢者の生活はゆとりあるものではなくなるかも知れません。

(国立社会保障・人口問題研究所「社会保障給付費の推移」参照)
 図

海外では、アメリカやドイツなど多くの先進国も日本と同様の問題に直面しており、年金の支給開始年齢を
67歳に引き上げを検討するなど対策が議論されているようです。

もし高齢者の定義が75歳になったら老後の年金は?
もし年金受給年齢が75歳に引き上げられたとしたら、あるいは70歳に引き上げられたとしたら、老後生活
を支える年金受給額の総額は少なくなり、90歳近くまで続く老後の生活費はいくらかかるのかを把握して、
収支を押えておきたいものです。

総務省家計調査によると高齢夫婦世帯の支出は、基本生活費、交際費、教養娯楽費、交通、保険料などで、
1カ月約28万円かかると出ていますが、生命保険文化センター意識調査によるゆとりある老後生活費は月
35万円ともいいます。

65歳以上も現役時代と同じような思い通リの稼働所得を得ることが出来るのかによって、収入と支出の
バランスは変わってきますが、基本的には、月28万円の生活費が平均寿命の84歳まで19年間(女性は87歳
まで)かかるとして6,384万円が必要な生活資金になります。

一方で、高齢者の定義の引き上げに伴い、もし年金受給年齢が75歳になってしまったとしたら、月22万円
の年金(厚労省のモデル世帯の年金額)を受給できるまで10年間の不足分を補うことを考えてゆく必要が
あります。

国民生活基礎調査によると、高齢者世帯における「公的年金・恩給」は、総所得の67.6%にもなり、
「稼働所得」は18.3%ですが、年金以外の所得を増やす、あるいは稼働所得率を上げる工夫をするなど、
高齢期に突入するまでに、何かしらの手当てがますます必要になってくるでしょう。

高齢者世帯の所得の種類別1世帯当たり平均所得金額 (国民生活基礎調査平成26年)

総所得 稼働所得 公的年金
恩給
財産所得 年金以外の社会保障給付金 仕送り・企業年金・個人年金・その他
300.5万円
100%
55.0万円
18.3%
203.3万円
67.6%
22.9万円
7.6%
3.4万円
0.1%
16.0万円
5.3%

また、同調査での約7割の高齢者世帯において公的年金等の所得が総所得に占める割合が80%以上になっ
ている現状も踏まえ、65歳以降準高齢期の働き方や、生活の仕方を見直すことで、年金以外の収入の確保
や、心身ともにゆとりある生活を送るための必要な支出を考える機会になればと思います。

今回の提言を前向きなものとしてとらえ、この機会に65歳以降のライフプランの見直しをしておきたい
ものです。

2017.1.30 成田祥子

投稿者:未来への扉 カテゴリー: ライフプラン

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